新しい事業を開発する際には、特定のプロセスを理解することが重要です。このブログ記事では、新規事業開発のステップについて詳しく解説します。
新規事業を始めるにあたり、まずは筋の良いアイデアを見つけることが不可欠。しかし、やみくもにブレーンストーミングやアイデア100本ノックなどをしても、徒労に終わってしまいます。以下のようなフレームワークを活用することで、ビジネスにつながるアイデアを効果的に生み出すことができます。
様々なフレームワークが存在しますが、自社の強み(ケイパビリティ)を発揮できる事業であることや未解決の顧客課題、ビジネスチャンスがあることが重要なポイントです。ビジネスチャンスの検証はステップ2の「市場調査と競合分析」で行いますが、この段階でビジネスチャンスの種をしっかりと見つけ出しましょう。
ここでは、アイデアを考えるときに役に立つフレームワークを4つご紹介します。
SWOT分析とは、下記の4つの要素を使いう分析手法です。特に、自社や自身の強みをどう活かし新規事業のアイディアに活かしていくかに役立ちます。すでに運営している事業がある場合は自社のケイパビリティを生かした新規事業を始めると、よいシナジーが生まれやすくなります。
Strengths(強み): 自組織の強みや競争優位を分析。
Weaknesses(弱み): 自組織の弱点や改善点を特定。
Opportunities(機会): 市場や業界の成長機会、トレンドを発見。
Threats(脅威): 競合他社の動向や市場の変化など、外部からの脅威を評価。
進め方としては、下記のような4つのようなプロセスで行います。
自社や自身の現状の評価を改めて知ることで、戦略の方向性を明確にすることができます。
PEST分析は、企業の外部環境を把握し、戦略策定に活用する重要なツールです。政治、経済、社会、技術の4つの要素を分析することで、組織に影響を与える外部環境を評価できます。特に長期的な計画や新規事業の展望を探る際に、有益な情報を提供します。
検討しているアイデアが政治や経済、社会の動向などに大きな影響を受けそうなものであれば、PEST分析を行い将来的な拡張可能性を検証しておくことが重要です。
デザイン思考とは、ユーザー中心のアプローチを通じて、複雑な問題を解決するための方法論です。新規事業のアイディア発掘やイノベーションを生み出すプロセスにおいて、デザイン思考は非常に有効なフレームワークとされています。このアプローチは、ユーザーのニーズや課題を深く理解し、そのインサイトから創造的な解決策を導き出すことを目的としています。
進め方としては、下記のような5つのプロセスで行います。
共感(Empathize):
問題の定義(Define):
アイディアの発想(Ideate):
プロトタイプの作成(Prototype):
テスト(Test):
デザイン思考の魅力は、新規事業の成功の可能性を広げることにあります。迅速な検証とフィードバック収集によって、小さな段階でも成果を実感できる利点があります。一方で、アイディアの検証を怠ると、同様のサービスや競合が存在し、将来性やビジネスモデルが危うくなる可能性も考えられます。そのため、ステップ2での市場調査や競合分析、SWOT分析、PEST分析などを通じて、成功への道筋を明確にすることが重要です。
バリュー・プロポジションとは、下記の3点のポイントを整理したうえで、ちょうど真ん中に位置するものを把握します。顧客に選んでもらいやすい「明確な価値」を定義するのに有効な手法です。
自社の価値を明確にすることは、サービスをローンチした後のマーケティングやプロダクト開発をスムーズに進める際にも非常に役立ちます。また、チームが共通の目標に向かって一丸となることで、チームメンバーのモチベーションを高めることができるため、チームワークをより強固に築くこともできます。
進め方は、下記のようになります。
1. 顧客のプロファイルを作成する
「顧客は何を成し遂げたいのか?」を基準に、それをとりまく悩みや、達成すると何が期待できるのかを整理します。
2. バリューマップの作成
「顧客のプロファイル」で作成した内容に対応するものを作成します。顧客が成し遂げたいことに対して、どのような製品やサービスを提供するのか、どう悩みを解消し、利得を提供するかを明確にします。
バリュー・プロポジション・キャンバスは、顧客の真のニーズに基づいた製品やサービスを開発し、市場での成功の可能性を高めることができますが、顧客の解像度が低い状態で作成すると、顧客が成し遂げたいこととずれてしまう可能性があります。これらを作成する前に、ユーザー調査などの一次情報を取得して解像度をあげておきましょう。
これ以外にもフレームワークは存在します。ぜひ自社の状況にあったフレームワークを選択していきましょう。
アイデアがおおよそ固まってきたら、より確実性を高めるための検証として、「市場調査と競合分析」のステップに進みましょう!
アイデアを発掘したら、次に市場調査と競合分析を行います。
市場調査では、下記の点を調査します。
特に、ターゲット市場の規模やそのプレイヤーを把握することで検討しているアイデアは成長の可能性が高いのかを把握することができます。のちのビジネスプランにも関わってきますが、どのマーケット(市場)で戦うべきか、そこでの勝ち目がない場合は、少しターゲット市場をずらして戦うことで勝ち筋を見出すこともあります。
よく利用する方法の1つである、「セグメンテーションを用いて把握する方法」についてご紹介します。アイデアの段階で設定したターゲットの顧客像をもとに、特定の基準や特性に基づいて細分化し、それぞれのセグメントの規模を評価する方法です。
例えば、「孫を喜ばせたいおじいちゃんおばあちゃん」がターゲットだとした場合、そのターゲットの年齢、性別、地域、所得、ライフスタイルや購買行動についてセグメントを行います。
小学生の孫を持つ祖父母の年齢が55歳〜75歳、1都3県在住と仮定した場合は、政府が発行している人口統計の資料などが役に立ちます。そこからさらに特徴をもとにして数値や割合をかけ合わせて導いていきます。正確なデータがない場合は、「フェルミ推定」と呼ばれる手法を使い大まかな数値を特定するやり方もあります。
このような調査を行った上で、「SAM」と「TAM」を算出します。
この段階で、市場規模が小さい場合や競合が既に多くシェアを持っている場合、勝機が限られていると判断できます。逆に、市場規模が非常に大きい場合は、ターゲットを絞る必要があるかもしれません。例えば、「全ての日本人」をターゲットにするとターゲットのニーズも様々あるため価値提供がぼやけてしまうので難しくなる可能性があります。客観的な視点を保ちつつ、適切なターゲティングを心がけましょう。
競合分析では、競合他社や同業他社の製品やサービス、マーケティング戦略などを分析します。これにより、競合他社との差別化ポイントや市場での競争力を見つけることができます。市場調査と競合分析は、新規事業の成功に向けて重要な情報を提供してくれるプロセスです。
下記のようなプロセスで進めていくとよいでしょう。
戦うマーケット(市場)を特定
ここまでのステップで、戦う市場は決まりましたでしょうか?マーケットの捉え方も、複数考えることができます。例えば、「新しい画期的なSNSを作りたい」という場合、もちろん既存のSNSプラットフォームが主たるターゲット市場ではあります。しかし、ユーザーの視点で捉えると、暇な時間を埋めるためのサービスは競合になりえます。ターゲットのユーザーが利用するときを考えて市場を特定してみましょう。これらの競合他社が行っていることに、追いつけ追い越せと同じような機能や価値を作っても勝ち目はありません。大事なことは、その中でどう戦っていくかを決めることです。ここでピックアップした競合他社の動向は、ウォッチしていき動向を見ていきましょう。
アイデアの発掘と市場調査・競合分析を行ったら、次にビジネスプランの作成を行います。ビジネスプランは、新規事業の目標や戦略、財務計画などをまとめた計画書です。ビジネスプランには、事業のビジョンやミッション、マーケティング戦略、販売計画、人材計画などを詳細に記述します。
リーンに進めて行く場合は、粗い状態でステップ4に進み、まずはアイデアを市場にぶつけてみるとよいでしょう。
事業計画書のテンプレートをご用意しています。こちらからダウンロードをしてお使いください。
また、ビジネスプランの作成は、やや専門的な知識が必要になります。第三者にビジネスプランをみてもらうことで計画書自体をブラッシュアップすることができますので、経営者としての経験がある方や中小企業診断士の資格を持つ方などにレビューをしてもらいましょう。
最後は、実行と評価です。実際にターゲットユーザーに使ってもらえるものをまずはプロトタイプとして作っていきましょう。新規事業は、どんな天才でも100%確実にヒットするビジネスを生み出すことはできません。だからこそ、プロトタイプの開発にはそこまで時間をかけずに評価できる程度の状態でまずはターゲットとなるユーザーに試してもらい、そのフィードバックを得てみましょう。
ただし、評価もやみくもにやっては正しい検証結果が得られません。しっかりとした仮説をもった上で、検証に臨むことが重要です。
Hittasでは、プロトタイプ開発をサクッと行うだけでなく、検証方法についてもビジネスアイデアをもとに設計することができます。
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